アンダーヘヴン


『大好きだった』


バレンタインだというのに、火葬場に私はいる。
なんでこんなところにいるのかなんて私が聞きたいくらいだ。
周りにはクラスメイトがハンカチを握り締めて俯いている。
ただ、いないのはひとり。

本当に、莫迦だ。
あんな、たかがゲームでもう会えなくなるなんて、あの男は何を考えていたんだ。
思い出すだけで涙がこぼれてくる。
警察に事情聴取された時も、あいつの親と話をした時も泣けなかったのに。

火葬場にいるというのに、あいつはいないなんておかしな話だ。
死体も揚がらなかったんだから、当然といえば当然なのかもしれないけれど。
じゃああいつはどこにいるんだろうね?

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チョコレートを持って、私はあいつのいる海へ向かった。

海岸はとてつもなく寒い。きっと海の中は凍えるように寒いんだろう。
きれいにラッピングされたチョコレート。自分で巻いたリボン。
それにキスをひとつつけて、海へ投げた。あいつのもとへ届くように祈りを込めて。

私まであいつのもとへ行く気なんかさらさらない。
いつか仕方なくあいつのもとへ行った時、怒鳴り散らしてやるつもりなんだから。

「莫迦野郎、いつまでも愛してる。」







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