マッチ売りの少女


昔むかし、あるスラム街にマッチ売りの娘さんと花売りの娘さんがいたんだ。
マッチ売りが姉さんで、花売りは妹だった。本当に姉妹仲良く暮らしていたよ。

ある日、姉さんは妹に「仕事を代われ」と言った。
妹はもちろん反対したよ。
妹思いの姉さんだ。そして妹も姉思いのいい子だ。
汚れるのは自分だけでいい、互いにそう思ってたんだろうね。

ある日、黒服の男が姉妹のところにやってきた。
「自分のところで働かないか?」
そう持ちかけてきた。
しかし親に捨てられスラムで育った姉妹だ。簡単に他人に従属するわけがなかった。
男は金持ちだった。
小一時間悩んで、姉さんは一人男のところで働くことを決めた。
「私は頑張って働きます。でもどうか妹には仕事をさせないでください。」
そう、条件を出した。
妹は勿論反対した。しかし最終的に姉さんだけが働くことになった。

数日後、妹のもとに前払いの報酬が届いたのを確認すると、それからの姉妹の行動は速かった。

姉さんは指示されたマフィアの事務所をそれこそ跡形もないくらいに爆破し尽くして、
妹は黒服の男の元締めに花を売って最後は元締めを撃ち殺した。
一人残した男をせせら笑うように、姉さんはマッチで爆弾に火を点けて男の懐に突っ込んだ。

それから姉妹が花を売ったりマッチを売ったりする必要はなくなった。
例の前払いの報酬の他に、妹が元締め相手に花を売って稼いだ札束だの宝石だのが安アパートに山とあったからね。
それらを少しずつ切り崩して姉妹は仲良く慎ましく暮らしていったそうな。

後に、姉妹は最悪のテロリスト姉妹として恐れられる存在になったそうな。

おしまい、おしまい。





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